小説

NO IMAGE チキータの遺産

終幕 チキータが遺したかったモノ(終)

28「殺戮の化身が復活した」なんて噂による民衆の恐怖は、カシアさんの事件が大きく広まってから、あっという間に静まった。原因は三つある。 まずはそれだけ、カシアさんは皆から慕われていて、今回のことは大きく世界が衝撃を受ける事態だったってことだ...
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第四幕 殺戮の化身◆2

27 ロシュエルの遥か上空で身を投げたチキータは、まず背中に魔法でできた翼を生やし、速度も安定、方向のコントロールも安定させてコラソンの心の声に聞き耳を立てた。 ハイメと契約している、かつ歴史上随一と言われた魔力を存分に発揮したチキータなら...
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第四幕 殺戮の化身◆1

26 猿ぐつわを噛まされたまだ年端もいかない少年が、魔法で縛り上げられ拘束されている。カシアに連れられて暗闇の中を無理矢理歩かされたあとにたどり着いたのは、アンナの裸体が眠る、件の巨大なカプセルの前だった。「カシアさん、待ってよ! ニックを...
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第四幕 逃げからの脱却◆5

25 辺りの空気が固まる。フラビオはしばらく意味が理解できなかった。長い沈黙の中、彼らを乗せたセネルはまっすぐに飛び続け、やがて 帝国でも一位二位を争う大きさの貿易都市の城壁にある検問を軽々とくぐり抜けるどころか上から通り越し、フラビオたち...
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第四幕 逃げからの脱却◆4

24 フラビオたちは、地上を遥か彼方に感じる場所にいた。辺り一面青の世界。 常に強風が吹き荒れる。ただ一つ身近に感じるのは、鞍を通じて伝わる怪鳥ソリアード・セネルの体温だった。「四人も乗せられるなんてすごいですね! 風が気持ちいい」「これな...
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第四幕 逃げからの脱却◆3

23 チキータが目を覚ますと、俺たちは伯爵に礼を述べてから屋敷を出発し、少し離れた草原でしばらく休んでいた。朝食前に屋敷を出たので、食事はここで摂った。 そして予定していた時刻、イラーナの契約している一般的な鳩よりも一回りか二回りどころか、...
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第四幕 逃げからの脱却◆2

22「分かった分かった。負けだよ、二分の一がミリシーに預けてあるよ」「じゃあお前さんはウチに預けてる二倍は財産があるってことだな」「そうだ。ことが済んだら十枚でも二十枚でも引き下ろしていけばいいさ」 そう言って降参のポーズを取ったあと、フラ...
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第四幕 逃げからの脱却◆1

21 次の日の夜明け前。 まだ太陽が毛ほども顔を出していないが、深夜に比べて暖かい。もうじき明るくなる時間だろう。 最近生活リズムの狂っていたチキータは、記憶を取り戻してからは一度も早過ぎる早起きはしなくなった。昼寝もそこそこに、徐々に昼行...
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第三幕 揺らぐ心◆7

20 夢を見た。胸くそ悪い夢だった。自分の無意識と過去の記憶が混在するうやむやな世界。近いようで遠い昔の記憶だ。 まだ男女の性差もほとんどない頃からフラビオとコラソンとは一緒だ。夜、寝る時だって一緒にいた。顔を横に向ければコラソンの銀色のポ...
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第三幕 揺らぐ心◆6

19 その日の夕食も、次の日の食事も次の日の食事も当然のように屋敷の使用人が作ってくれている。手間賃さえも取らないのでもちろんそれは助かることだったが、料理好きのフラビオは少しの物足りなさを感じて日々を過ごしていた。 だが今のフラビオには、...
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